インタビュー
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img 池田竜雄
  最近はPCの発達によって、いわゆるグラフィックデザイナーと言われる人々の活動の幅が広がった。フライヤーなど紙のデザインやWEB、FLASH、映像などどれか一つができれば他のものにもPC上でクロスジャンルに手を出すのはそんなに苦ではないのが現状だ。

しかしそんな中いくら技術や環境が発達しても、気軽にちょっとやってみようか、という訳にはいかないクリエイティブの分野もまだまだある。それは職人の世界であり、素材を実際に手で切ったり削ったりすることに意味のある分野だ。

デジタルの世界では「Photoshop1を使って早10年。Photoshop1なら誰にも負けません」という人はもはや古すぎて邪魔なだけだが、職人の「このミノで削り続けて10年」はまだ若手の部類になるという、同じクリエイティブでも時間の感覚がかなり異なる分野でもある。それだけにこの分野に身を投じるのはそれなりの決断を要することであるし、なかなか手を出せない。それはデジタルオンリーのクリエイターなどにとっては歯がゆくも興味のある分野でもある。

今回はそんな分野の一つであるシルバーアクセサリーでハードな遊び心をもった自身の作品や、ガンダムからBuckTickまで幅広く依頼を受けデザインを行っている池田竜雄氏にインタビューを試みた。

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 Q.現在一番注力している分野を教えてください。
今というよりは大体いつもなんですが、約6割か7割くらいがアクセサリーで、後の3割位がいろいろと入れ替わっていく感じですね。今は3割の部分が何かというと、ジッポとか携帯のストラップとかになりますが、ここにはいろいろ入って、おもしろいところでは、ちょっと前のFIFAワールドカップの仕事で数珠の一部なんかもありましたよ。
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▲新しいブランド立ち上げ用作品1
カエルが乗っかっているリング

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▲名前は出せないが某バンドがツアーで
販売する用使用のZIPPO
 Q.子供時代はどんな職業につきたかったですか?創作活動に人より興味はありましたか?
どんな職業につきたかったかはあまり憶えていないんですが、とにかく図工が得意でした。それしか出来なかったっていうのもあるけど、それだけは人より断然よかったです。通信簿でも他がオール1で図工だけ5とかが小学校や中学でもあったくらいで。ある意味将来なるものは限られていたというか、やっぱり子供の頃って得意なものに集中するし、絵も得意で描きまくっていて賞なんかをもらっていたのを思い出しても、やっぱり手を使うものがずっと得意でしたね。偶然2日前に卒業文集みたいのを見る機会があって、それには「お店を持ちたい」って書いてあったんで漠然となりたいものっていうのはあったのかも知れないですね。

 Q.今の仕事をしている時のよさとつらさはどんなところですか。
よさは断然仕事が終わった時の感じ。その何かを作ったんだという達成感と充実感は代えがたいものがありますね。すぐ結果が出るっていうのもいいし。逆につらいのはその2日前(笑)。徹夜とかしながら「なんでこんなことやってんだろ、あーつらい」って泣きながらやっています。
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▲普段ここで削ったりもったりの
作業をしている
 Q.一つの作品完成までの簡単な流れを教えてください。
大きく分けて二つあって、一つは自分の作品。そしてもう一つがクライアントから依頼を受けて作る場合ですね。作品に関しては、自分のイメージのストックっていうのがあって、その中でふるいにかけて残ったものを具体化していく感じですね。イメージにあっても街中で似たようなものを見た場合はストックから外れます。そして実際につくるに至った場合はまず原型をデザイン。ものによって蝋(ろう)だったり真鍮だったりしたものを削りだして作ります。それをもとに工場で量産。後者の方は依頼主がデザインをくれたらそれを忠実に作って、そうでない場合はこっちで先方のイメージをデザインしたりもします。後の工程は大体一緒です。


▲リングなどのオリジナル作品
 Q.制作にあたって「これは絶対」というような自分のルールはありますか。
うーん、制作の時はレゲエを聴く、かな(笑)。ハードロックなんかだと焦っちゃってダメなんですよね。逆にバラードなんかだとゆっくりしちゃって、思わず一服なんてのばっかりで終わらなくなっちゃう。あとは特に絶対というルールはなく淡々とつくりますね。

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▲予定はしばらくぎっしりである
● 次回は彼の今後のデザインとこれから目指す人へのアドバイスなどについて訊いてみるのでこうご期待!