インタビュー
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shirane yutanpo vol.3-1
  イラストレーターという職業は、自分で「私はイラストレーターです」といった瞬間になれてしまう「自称」がかなりアリの業種である。ノートの切れ端に「これってカワイクナイ?」となんとなくキャラクターを書いてみた女子中学生でも、名乗ればイラストレーターだ。チャンスはほぼ誰にでもあるだけに、なる人も多ければ消えていく人多いし、当然競争も激しい。そんな環境なだけに、定期的に雑誌や広告、個展などの各メディアを通し、作品を発表して世の中に影響を与えつづけていける人というのはやはり特別な「何か」を持っている人であり、その作品は興味深いものが多い。イラストだけで衣食住をまかなっている人だけをプロと呼ぶわけではないが、そんな彼らは間違いなくプロフェッショナルのイラストレーターと呼べるだろう。

今回のインタビューではその独特の絵柄で各方面からひっぱりだこでありながら、個展なども精力的に開いている、今国内でもっとも注目のイラストレーターの一人、白根ゆたんぽ氏に伺ったお話を2回にわたってお届けする。1回目となる今回はイラストレーターになろうと決心した頃の話や、制作の際のこだわりなどについてきいてみた。

※全ての写真はクリックすると拡大できます。
 Q.イラストレーターになりたいと思ったのはいつ頃ですか。そのきっかけは?
小学校5年生か6年生の頃からかな、意識し始めたのは。その頃「Drスランプ」なんかをノートに模写しはじめたりして、「漫画家もいいな」なんて思ったんだけど、ストーリーを考えるのは自分より優れた人がたくさんいるだろうと思ってね。変なとこで謙虚なんです(笑)。
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▲雑誌dishの特集トビラ用イラスト

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▲週刊誌SPA!で連載しているコラム
「ドリルで学ぶ男と女の恋愛学」用イラスト
 Q.他になりたいものなどはなかったのですか?
うーん、あまりなかったですね。勉強もまあまあ普通っていうレベルだったし、運動もどちらかと言うと苦手で、子供の頃はそれだけでダメっていうイメージだったけど、イラストだけはなぜか結構イケル気がして。しいて言えば、今からなりたいっていう訳じゃないけど、体がもう一つあるか生まれかわったらコックさん、というか料理人もいいなって、これは最近思います。

 Q.制作を行う際、誰を一番意識して作品を作りますか?
仕事としてやっているので、やっぱりクライアントのことは考えるかな。
大体最初の打ち合わせでこういうのがいいんだろうなっていうのは掴んでから制作に入るっていう感じで。それはなんでも同じじゃないかな。その中で自分のテイストをさりげなく入れてみたりするけど、まったく無視したら次につながらなくなっちゃうしね。
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▲国際DANCEイベント「JADE」の宣伝美術
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▲週刊誌SPA!で連載しているコラム「ドリルで学ぶ男と女の恋愛学」用イラスト
 Q.一般の人や同業の人の目などは気にならないですか?
クライアントが気に入るかどうかを気にした時点で、ある程度一般の人の目はカバーできたかなって感じはするので、あまり分けては考えないですね。同業の人がどう思うかは、昔デビューするかしないかの頃はよく考えていたけど、それをやっちゃうと内輪オチになっちゃうし、実際制作中はそれどころじゃないことが多いので最近はあんまり意識はしないですね。

 Q.作品を作る際に「これは」というようなルールや癖はありますか?
コンセプト的には「明るく・楽しく」っていうのは意識してるかな。仕事でやっているというのも大きいけど、暗く作るっていうのは黒を基調にしてそれに手を加えていけばある程度のものはできるけど、それはあまりいいとは思わないからね。
精神状態でも暗い感じっていうのは結構簡単なんだよね。落ち込んだ時に放っておけば勝手にどんどん暗くなっていくっていう部分もあるけど「明るく楽しく」っていうのはどこかで努力を必要とする事が多いから、ある程度意識しないとできないし、それはやっぱり大事なことだと思う。逆に思いっきり明るい方が少し毒のある感じがでたりもするから。
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▲本の原画用イラスト
あと癖は、うーん、とりあえず制作中はコーヒーは飲むかな。それと夜中は伊集院光とかラジオのAMをたくさん聴きながら仕事しますね。おもしろいのはテープにとって後で聞いたりもします。

 Q.締め切りは守るほうですか?
最近は守るようにしてます。昔はある程度締め切りは延ばした方がかっこいいのかなとか、締め切りを過ぎてもより良いものを、って思ってた部分があったけど、今は週間の仕事も3本抱えているし、締め切りを過ぎると自分がつらいだけっていう状況になっちゃったから、むしろ早め早めに出すようにしてます。できるだけね。
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▲週刊誌SPA!で連載しているコラム「ドリルで学ぶ男と女の恋愛学」用イラスト
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▲ガレッジセールのライヴツアーのポスター用イラスト
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▲本の原画用イラスト
● 次回(11月8日更新分)では他の人の作品に求めるものや今後の活動について伺います。お楽しみに!