Creating
volumetitle
[ 前 編 | 後 編 ]
live in a special world.  

 インターネットやE-メールが当たり前のメディアになってきた現在で、改めて浮き彫りになるのが紙メディアの存在意義だ。インターネット黎明期には「紙はもはやなくなるだろう」と言われてきたが、実際はその逆で、ここにきて紙のスペシャル感はある意味インターネット以前より強くなってきている。

 その理由は幾つかあるが、一つには制作工程の複雑さと融通のきかなさがあげられるだろう。デザインを起こしてラフを作りデータがあがったら、印刷というネットにはない工程を通さなければならない。デジカメとフィルムの違いと同じことだが、上がりが紙の質、インクの種類、そして印刷機などでも全く違うものになるので、そこから最終的なものをイメージして予算取りなどもしていかなくてはならない。そして一度刷り上ったら修正やアンドゥ―もなく、複雑な工程を経て刹那な思いを固定化するという、ネットと比べ事前に意志を固める必要があるメディアである言えるだろう。

 もう一つには流通の問題がある。インターネットは誰でも開設して世界中に公表することができる。確かに紙メディアも作ることはやる気さえあればほぼ誰にでも可能であるが、問題はそれを流通させようとした時だ。フリーペーパーを友達と作った。素晴らしい内容だ。しかしそれを発表するにあたりどこで配るのかを決める時に、駅のキオスクや街のコンビニに自主制作で作った本を置くのはまず不可能であり、普通の本屋さんでさえいわゆる取次ぎを通さないと難しいのが現実だ。これができるのは出版社だけであり、この門の狭さもマスコミと呼ばれるレベルの紙メディアが未だもって特別な存在である理由の一つであろう。

 ことの常ではあるが影響力が強い狭き門なので、やはり優秀な人材が多く集まり、相乗効果でどんどん特別な存在となってきている。今回はそんな一流の雑誌や書籍などのエディトリアル/デザインを多く手がける、福間優子氏にインタビューをこころみた。
 尚、氏はArtArc.netのDTPコーナーでも連載を行っているので、興味ある方はそちらもぜひご一読を。

作品
言葉
Q1:現在の仕事の総称とその内訳の割合を教えてください。
 エディトリアルとデザインを主にやっています。仕事量の割合としては雑誌が7割、書籍が2割で残りの1割がその他、フライヤーや名刺のデザインなどになっています。時間ややりたいことの割合はまた別になるけれど、現状仕事量的な割合はそういったバランスですね。
 
Q2:子供のころから将来クリエイティブな仕事につくと思っていましたか。
 いいえ、かなり大人になるまで自分が将来何になるかなどについては考えずに、その時好きなことなどに没頭していましたね。エレクトーンをずっとやっていて、しばらく結婚式場で弾いたりもしていたこともあったのですが、それも特に先生になるとか「これで将来」とかは考えていませんでした。常に好きなことを追い求めて気づいたらここにいた、そんな感じです。
作品
Q3:クリエイティブの中で他の分野に行こうと思ったことはありますか。
 もともと雑貨に興味があるので、ゆくゆくは雑貨もおいてあるようなカフェをやりたいと思ってます。雑貨やカフェがクリエイティブかどうかは分からないですし、クリエイターとして「他の分野」に行こうと思ったことがある、というよりはずっとそれを目標にやってきたし、今もそれを思いながらやっているというのが事実ですが、しいて上げるならばそれになりますね。
 いままでやってきたグラフィックの経験なども活かしたお店作りをしたものができれば嬉しいです。
作品
Q4:DTPはいつ頃からどんな流れで始めましたか。
 一般職について数年経ったときに「これはちょっと違うな」「でも自分のやりたいことってなんなんだろう」と強く感じ始めて、雑貨が好きだったこともあり専門学校の雑貨コースに入りました。
 その授業でプレゼンボードを使って各自プランを発表するという機会があったのですが、雑誌を切り抜いてペタペタと貼っているうちに、プレゼンというよりは、その「ボードを作る」という行為自体が「なんて楽しいのだろう!」と感じてしまったんです。
 そのことを人に相談したら、それはグラフィックデザインだよ、と言われそこで始めて自分が何がやりたいのか気がついたんです。そこからデザインのコースを新たにとり始めました。★
 
★ その後就職活動もしたのですが経験のないものには最初のステップが本当につらくて数ヶ月壁に当たっては砕ける日々でした。その間も作品などは作っていたのですが、ある日とあるきっかけで知り合いの知り合いの方がデザイン事務所を新たに始めるので遊びにこないか、と誘われそれがきっかけでそこに就職しました。
作品
Q5:通常の一般的な仕事の流れを教えてください。

  私の場合、雑誌はページ単位で仕事の依頼を受けているので、「○○ページを×××までにお願いします」という感じで仕事の依頼をうけます。依頼後必要に応じて打合せをしますが、何度かお仕事をした方だと電話のみの打合せという事も多いです。
 その後、内容やページ数にもよりますが素材を受取ってから大体なか2〜3日で編集者のラフチェックがあり、入稿となります。 入稿後の翌週位に色校正が出るので、そこで写真の色みなどをチェックし必要な所に赤字をいれ校了となります。再校、念校は出版社により異なりますが、よっぽどの事がない限りこちらでチェックする事はありません。

[後半に続く]

作品
Page Top
go to back number list