子供の頃ウルトラマンは本当に大きいのだと信じていた。ある日母親に連れられていったデパートの屋上で握手したウルトラマンに、なぜ今日は大きくないのかと思わず尋ねてしまった程信じていた。それはTVの中で、戦うシーンにおいて使われていたミニチュアや撮影技術が非常に精巧で、ミニチュアであることを意識させなかったからであり、「すごいミニチュア」などとは言われたことも思ったこともなかった。
現代に置き換えると、コンピュータグラフィック(以下CG)がそれにあたるもので「すごいCGだ」と観るものに言わせてしまったり「フルCGで見せます!」などとキャッチコピーにうたったりしている間は、技術の本当の役をまったく果たしていないばかりか、単なる技術者同士の業界オチになってしまっていると言えるだろう。一旦観るものにそれを意識させてしまうと、その向こうにある感動や喜び、そして情報などを伝える妨げになってしまうからであり、感動の再会のシーンでの「うわー、すごいCG」という感情は邪魔なだけであり、むしろ使用を隠した方がいいくらいである。CGが娯楽や広告に使用されるようになってかなりの年月が経つがここ数年でようやく本来の使われ方である、「どこでCGを使っているのか、そもそもCGを使っているのかどうかさえあまり意識させない」という意図で作られた制作物が増えてきた。
そんな中かなり早い段階からそれを意識しながら「最近の技術をもってしてやっと仕事にも使えるようになってきた」というフォトグラファーでCGも扱う木村洋一氏にインタビューを試みた。
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