伝えたくてもなかなか伝わりにくいのが感情である。足の小指を柱などにぶつけるととても痛い。この痛みは皆人生どこかで経験してきているので他の人も「ああ、それは痛いよね」と分かってくれるのだが、ひじをぶつけた場合などあまり痛そうに見えない時は皆あまり分かってくれず、自分的には「本当に痛いんだからもうちょっと同情して欲しい」などと思い、ちょっと大げさに痛がってみたり、うなってみたりしながら痛みを相手にアピールしなければならないこともある。それ以外にも例えば大好きな人に別れを告げられた時に「こんなに好きなのにどうして分かってくれないの」などというセリフも、根本的にそういう問題ではないにせよとりあえず言ってみたくなるように、感情や雰囲気を伝えるというのは本能に従った大事ではあるが難しい行為だ。
エンターテイメントの世界でいうと「色とりどりの世界」や「沈黙」など映像や音楽では表せても活字などではそれなりの手法をとらないとその空間や緊張感、雰囲気は伝えづらいことがあり、そしてその逆で「主人公はその時大きな不安を抱えていた」とか「○○は嬉しくも悲しい複雑な感情であった」など活字では説明できても映像や音楽で伝えることが困難なこともある。そういった場合はその感情や雰囲気を象徴するような映像などを映すと不安や喜びのイメージが無意識に伝わったりする。ここでは2回に渡ってフロアなどで伝えたいそんな感情や状況を映像で表す手法を幾つかやってみよう。今回はその1回目「オーラ」だ。
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