vjの映像
映画やプロモーションビデオ、番組のオープニングなど、日常目にするプロの映像。そんな目を見張る映像を自分でも作ってみたいな、と思ったら早速家のPCでやってみよう。
そこで作った映像は、インターネット、クラブ、巨大街頭ビジョン、家のビデオなど流すメディアに欠くことはなく、未来は広がるばかりだろう。そしてたまにはネタにつまって、行き詰まったりもするだろう。そんな時には散歩に行くか、ここを読もう。
mook1 MOOK1
Vision QuestやageHaといった巨大クラブイベントやブランドや車メーカーなどのショウでもプレイするプロのVJ。Chilled LoungeといったコアなパーティではDrum'n' BassのDJも務める。
著書「Make It Move!」

WEBSITE >> www.mook1.com
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■Start up VJ その4

■感情や状況を映像で伝える その1

 -- まえがき --
 以前雑誌に連載をしていたものをまとめた本「Make It Move!」を出したのだが、それはもう読んで頂けただろうか。ここの連載と同じようなものがたくさんつまっているのでまだの人は是非一度。
  そして今度それのDVD版が出た。これは本に入っている素材のフルサイズバージョンと新たに2つのオリジナル作品が入ったもの。エンハンストDVDといって、DVDプレーヤーに入れると2つのムービーが再生されて、PCのDVDドライブに入れると50個以上の動画素材がデータでコピれるという代物。基本的に権利は放棄している、というかすべて著作権フリーなのでVJや映像制作に好きに使ってもOK。
  新たな作品のうちの一つは3分半程度で、朝、昼、夜という一日の流れを人生に例えたものを映像にしてみた。タイトルは「MOOK1 Substance」。始めは大きな書店などで、見あたらなかったら店員さんにチェックか、ここArtArcのストアでオーダーしてね。DVDブックなのではじめの数十ページは立ち読みできる仕組みで、それを見て「おっいいじゃん」と思ったらそこで家に持ち帰って映像ゲット。

■感情や状況を映像で伝える(2)光速移動
▲クリックすると今回のサンプル ムービーを
再生します

 伝えたくてもなかなか伝わりにくいのが感情である。足の小指を柱などにぶつけるととても痛い。この痛みは皆人生どこかで経験してきているので「ああ、それは痛いよね」と分かってくれる。しかしひじをぶつけた場合などあまり痛そうに見えない時は「本当に痛いんだからもうちょっと同情して欲しい」などと思い、ちょっと大げさに痛がってみたり、うなってみたりしながら痛みを相手にアピールしなければならないこともある。大好きな人に別れを告げられた時に「こんなに好きなのにどうして分かってくれないの」などというセリフも、根本的にそういう問題ではないにせよとりあえず言ってみたくなるもの。感情や雰囲気を伝えるというのは本能に従った大事ではあるが難しい行為だ。

 エンターテイメントの世界でいうと「色とりどりの世界」や「沈黙」など映像や音楽では表せても活字などではそれなりの手法をとらないとその空間や緊張感、雰囲気は伝えづらいことがあり、そしてその逆で「主人公はその時大きな不安を抱えていた」とか「○○は嬉しくも悲しい複雑な感情であった」など活字では説明できても映像や音楽で伝えることが困難なこともある。そういった場合はその感情や雰囲気を象徴するような映像などを映すと不安や喜びのイメージが無意識に伝わったりする。
 ここでは2回に渡ってフロアなどで伝えたいそんな感情や状況を映像で表す手法を幾つかやってみよう。今回はその2回目「スピード」だ。

1.元素材の色を加工する

 今回は光が横に流れる映像を作ってみる。まず背景になる映像だが、素材の内容自体は最終的なものには反映されないのでなんでもよい。ただ色と、動きが激しいか否かだけは反映されるのでそこに着目して、気に入らないようであればここでやっているようにコントラストやカラーバランスで整えよう。ここでははっきりとした青になるようにしている。

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▲元素材がこうなる

2.モザイクをかけて光らせる

 色を整えた素材に対してエフェクトからモザイクをかける。モザイクは水平ブロックを1にして垂直ブロックを数百にすると横に流れ、逆にすると縦に流れるような映像がそれだけでできる便利なエフェクトだ。徐々にお互いに値を近づけていくと、どのようなロジックでそうなっているかが分かるだろう。これにグローをかけて光のイメージに近づけてみよう。


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元の素材からどんなものができるかが想像しづらいので
いくつか試してみるといいだろう

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